青少年こころの相談室
大明寺本堂の正面の「開基堂」内には、「青少年こころの相談室」があります。ここには、若い世代に関するさまざまなトラブルの相談が、電話やメールなどで全国各地からひっきりなしに寄せられてきています。「不登校」「いじめ」「家庭内暴力」「薬物依存」「青年期鬱」などの相談が多いのですが、最近深刻化しているのが「ひきこもり」と「宗教組織依存(カルト入信トラブル)」です。
特に80年代までは、若者の社会的抑圧に対するストレス・欲求不満は、外に向くことが多かったのですが、現代の若者たちは、限りなく内向きで自傷的になるように見受けられます。
これらの問題が起こると、家庭内で激しい対立が長時間続きます。「ひきこもり」の青年の心理には、変動の激しい社会に大きなストレスを感じ、それから逃れてひたすら自己の内面世界に閉じこもろうとします。そして、カルトは、ひきこもりとほぼ同じ構造の心理をもった者たちが、被害者意識を共有する者どうし、ある教祖や組織を中心に集まったものであると推測できます。
時代の転換期にあって、若者は生き方のモデルが見つからないままに、親の世代の価値観と激しく葛藤しているように思えます。これこそが「家庭の崩壊」という事態の本質で、「ひきこもり」や「カルト入信」に至らずとも、日本全国大なり小なり起こっていることでしょう。
家庭がその「あるべき姿」を見失っていることで、さまざまな苦がそこから生じている。そうであるならば、その「あるべき姿」を定位し、それを提言するのがお寺の担うべき現代的・社会的役割でありましょう。そして、「人間とは何であるか」「何をするためにこの世に存在するか」という問いの答えを各個人の精神に内在化させることこそ、お寺と僧侶の現代的レゾンデートル(存在意義)であると考えております。
相談・お問い合わせ
相談、お問い合わせの際には、下記のフォームよりお申し込みください。